FM NACK5の第297回番組審議会は、新型コロナウイルス感染症感染防止の為、メール審査にて7月13日に行いました。片岡直子委員長(詩人)、中島祥雄委員(大宮西武ビル代表取締役社長)、PANTA委員(ミュージシャン)、兼高聖雄委員(日本大学芸術学部教授)、青山正則委員(埼玉県県民生活部青少年課・企画・非行防止担当・主幹)、安福順二委員(フリージャーナリスト)石井義行委員(団体職員)が参加して行われました。FM NACK5から、片岡尚代表取締役社長、森口達治編成部長、山村太郎制作部長、廣瀬紀子編成部担当部長の4名が参加しました。今回は、2021年6月6日(日曜日)の12時55分から15時55分まで放送しました「パーマ大佐・鬼頭由芽 Music toy box」を委員の皆様に試聴していただいた後、ご意見を頂戴しました。
今回の「パーマ大佐・鬼頭由芽 Music toy box」は、2019年6月と2020年6月に放送した音楽バラエティー番組「NACK5 SPECIALパーマ大佐・鬼頭由芽Music toy box」の第3弾。曲を作り演奏する歌ネタ芸人でNACK5の深夜の顔としてもお馴染みの「パーマ大佐」と、音楽と映画をこよなく愛する「鬼頭由芽」による従来のFM番組の様式美(=『音楽を紹介』)とは異なる『音楽を使ってリスナーと楽しむ』番組となっております。
委員の皆様からいただいたご意見は次のとおりです。
◎ お二人の年齢差が程よい関係を感じさせ安心して聴く事が出来ました。内容も鬼頭さんの「ミュージック・シネマ」、安定の「J-POP研究所」、「プレゼン三番勝負」などが良かったです。「J-POP研究所」のコーナーは、昨年の「男性の高音化」のテーマよりは普通に聴けましたが、今年の“声の高低差”頻度が高まっていると言うテーマでは、ヴォーカルの楽器化の様な事を考えていて面白かったです。三年目の安定感で、可も無く不可も無くになりがちかもと思いますが、かえって週一くらいのレギュラーになっても良いのではとも思いました。
◎今回は三年目と言う事で安定感があり楽しみながら聴く事が出来ました。番組のはじめでは一人家族が増えた鬼頭さん、一人家族が減ったパーマ大佐と言うお話があり、パーマ大佐の出来事では「かさぶたになりつつある傷を自分ではがす」という自虐ネタを淡々と話されるなど表現が面白かったです。コーナーの「J-POP研究所」では今回「声の高低差」についてでしたが、さらりと曲の高低差を再現されるのは、“パーマ大佐”の本領発揮という感じでさすがと思いました。また「ミュージック・シネマ」のコーナーなど番組全体で多くの曲紹介もあり番組タイトルにふさわしいと思いました。
◎ 三時間の生放送の中に、たくさんのコーナーを詰め込んでいる事で長時間飽きさせない作りになっていると思います。ただ正直、全体を通して「一体何の特番なのだろう?」と思いました。日曜日の昼に三時間放送する特番なので、誰の為に何をしたい番組であるのかがもう少しリスナーに伝わるといいと思います。また各コーナーが多少粗っぽく感じたのも気になりました。「鬼ロック」のコーナーは、初めてのキャラ設定で、リスナーと“生電話”というのはさすがに無理があるように思え、登場するリスナーも仕込みの様に聴こえました。なるべく聴き手側に変なモヤモヤ感が残らない様にした方が、番組もより素直に面白く感じる事が出来るのではないかと思います。
◎ パーソナリティーお二人のトークは息も合っていてとても聴きやすかったです。特に鬼頭由芽さんの声は可愛らしく聴いていて心地いいです。コーナーの「J-POP研究所」では、テーマの“音の高低差”について誰もが知っている名曲がどのように変化してきたのか、その傾向は何の影響を受けたのかなど興味深い内容でした。内容は浅すぎず深すぎず私には丁度よかったですが、今後はリスナーの意見も聴きながら、更に深掘りして専門性を高めたコーナーにするなど検討していくのもいいと思います。全体としては安定感があり楽しい番組で、日曜日の昼には丁度いいのかもしれませんが、もう少しインパクトのある何かが必要かと思います。
◎ 今回のテーマになっている“音の高低差”では平井堅さんの「瞳を閉じて」を例に出していて、目の付け方が面白かったです。ただ、他のアーティストを例に出すマニアックな分析の様に思えますが、本格的な音楽解説でもなく、一般的におもしろおかしい物でもなくて、これを喜ぶリスナーは居るのか疑問なのと自己満足の研究発表を強制されている感じで、あまり心地よいとは思えないです。せっかく“音の高低差”を題材にするのであれば、テーマのポイントはいい所を突いているので、何故・何のために歴史の中でキーがどんどん上がっているのか、ファルセットを使ってまで高低差を付けないとならないのか?など研究発表の方法はまだ面白く出来ると思います。
◎ 音楽を通してパーソナリティーお二人とリスナーが、軽いタッチで遊べる様に作られて安定的ですんなりと聴けました。「ミュージック・シネマ」のコーナーは、年間150本近くの映画を観るというパーソナリティーが、音楽に関する推しの映画作品を紹介するとあって紹介に熱意を感じました。「J-POP研究所」では、最近のJ-POP音楽の傾向をマニアックに解説していて関心のある人には興味深いコーナーですが、最近の楽曲は高低差が拡がっていてそれを歌いこなせる歌手が増えているなど、昔はそんなに見つからないと真面目に解説していましたが、果たしてそうなのか?過去にもかなり高低差のある楽曲を歌いこなす歌手がいたのではないか?そう感じるリスナーもいたのではないかと思いました。独断と偏見ともいえる内容が全面に出過ぎた感じがしたので、もう少し軽い感じにした方がより良いのではないでしょうか。
◎今回の番組を聴いて感じたのは年1回とは思えない安定感と、J-POP、和・洋ロックから映画音楽まで幅広くZ~Y世代後半をターゲットとしたバラエティー番組で元気が出ました。Twitterとradikoの組み合わせで埼玉に限らず多くのリスナーに届き初めている事もいいと思います。番組の魅力で全国展開を目指す事が大切になって来たのを実感しました。映画音楽の紹介も内容はすごく素敵で、鬼頭由芽さんが評価をしっかりとしていて、プロモーション的な事も無く本音で話しているイメージで大変聴きやすかったです。ただ、BGMで使っていた曲が切り替わるたびイントロから流れるので耳が疲れました。出来ればサビやAメロで対応して欲しかったです。特番とは思えないスタッフの手厚さも聴いていて伝わりました。もし来年もやるとなるとこれ以上の熱量が求められると思うので、是非更に面白い番組にして欲しいと思います。