映画『はたらく細胞』(武内英樹監督)が12月13日に封切りを迎える。同作は、人間の体内を舞台に細胞たちを擬人化し、その活躍を描く同名の人気漫画『はたらく細胞』(清水茜作)を実写化したもの。永野芽郁が赤血球役、佐藤健が白血球役としてW主演を務める。2018年に放送されたNHK連続テレビ小説『半分、青い。』以来の共演となった2人にインタビューし、人気作の実写作品に出演する心境や役作り、佐藤のアクションへのこだわり、6年ぶりの共演で感じた互いへの変化や成長などを聞いた。
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■永野芽郁、赤血球との共通点は“ポンコツ”ぶり?
――『はたらく細胞』の実写には多くの人が驚いたと思いますが、おふたりは実写化、そして自分たちが演じると聞いたとき、どのように感じましたか?
永野:タイトルは知っていたのですが拝見したことがなかったので、お話をいただいてから漫画とアニメを観させて頂きました。驚きとともに「実写化するには全部グリーンバックで撮るのかな?」というのが最初に頭に浮かびました。
佐藤:お話をいただいてから改めてちゃんと漫画を読み、魅力的な役だし魅力的な世界観だと感じたので是非やりたいなって思いました。とてもうれしかったです。
――ご自身が選ばれた理由について、監督から何かお話は?
永野:最初は「なんで私なのかな?」と思いました。監督は、「応援したくなる赤血球をやれるのは芽郁ちゃん」というようなことをおっしゃってくれたと思います。
――ご自分ではどう思いますか?
永野:うーん。ちょっとポンコツ具合が似ている気がします(笑)。
佐藤:チャーミングに失敗する感じは通じるものはあったのかもしれないね。
――佐藤さんは?
佐藤:監督から特にそういう話はなかったのですが、白血球はどうしても自分が演じたかったです。
――人気作品の実写化ということで、どのように作品に向き合われたのでしょうか、準備したことなどがあれば教えてください。
永野:原作やアニメのファンのみなさまのイメージを裏切らないように、もっともっと赤血球という役に近づかなければいけないという緊張感はずっとありました。原作を読んだりアニメを観たりして研究しました。
――特に意識したポイントは?
永野:アニメでは、動き方や声のトーンなどを参考にしました。漫画では、びっくりしたときに目をまん丸くさせている表情がかわいくて、「少しでも近づけたらいいな」と。でも、監督が「芽郁ちゃんが思う赤血球をやってほしい」と言ってくださったので、すべてを寄せすぎず「自分がやったらこうなる」ということも思い描きながら演じました。
――佐藤さんはいかがでしょうか。
佐藤:一緒です。永野さんが言ったとおり、原作を読んだりアニメを観たりして研究しました。
永野:そうですけど、もうちょっとなにかいいですか(笑)。
佐藤:白は200色あるので、今回はどの白がいいかなと(笑)。
永野:今回の白はどれだったんですか?
佐藤:シーンによっても微妙に変えるのもありかなと。とにかく白具合にこだわりました(笑)。
■久しぶりの共演で“成長”を実感「大人になった」
――おふたりは『半分、青い。』以来6年ぶりの共演ですが、久しぶりに会っていかがでしたか?
永野:本読みの前にお祓いでお会いしたのが最初でしたよね。玉串のときに突然、私の名前が呼ばれたのにびっくりしちゃって。
佐藤:お祓いはそういうものでしょう(笑)。
永野:監督やプロデューサーさんもいたのに急に私の名前が呼ばれて「え!?」と思って健さんを見たら、ニコニコして行ってこいという感じの顔をしていました。ドキドキしながらやった記憶があります。
佐藤:それが久々の再会でした。
――お互いに変化を感じた部分はありましたか?
永野:私が成人したので、撮影先のホテルのレストランでみんなで乾杯して、初めて一緒にお酒を飲みました。一番変わったところじゃないですか?
佐藤:そうかもしれない。大人になったなということを実感しました。
永野:今私が言ったから、そうだって思っただけですよね(笑)。
佐藤:いやいや(笑)。監督と永野さんとプロデューサーさんとの食事の席に合流したらお酒が置いてあったのを見て、永野さんもそういう年齢になったのかって感じました。
――成人された永野さんは印象が変わりましたか?
佐藤:昔からすごい大人っぽくてしっかりしている方でしたけど、より大人としての魅力が…(笑)。
永野:笑っちゃったらダメ!最後まで言い切ってください(笑)。
佐藤:会うたびにキレイになられて、どんどん魅力が増していって。このままいくとどうなってしまうのかなって、いつもワクワクしながら再会を楽しみにしていました。
永野:しゃべればしゃべるほどウソっぽくにしか聞こえないです(笑)。
――俳優としての成長を感じた部分は?
永野:今回ご一緒するまでの間、自分なりにはいろんなことを経験して、きっと成長はしているのだろうけど、成長したかは周りの人が判断してくれることなのかなとも思います。成長していましたか?
佐藤:とってもしていましたよ。いいところはそのままに、会っていない期間でいろんな大きいものを背負ってやってきたのだろうなという深みが見えました。
永野:成長していたみたいです(笑)
■佐藤、『るろうに剣心』超えアクションに手応え 永野も絶賛
――佐藤さんは、製作発表で『るろうに剣心』シリーズを超えたいとアクションへの想いを語られていましたが、手応えの方はいかがでしょうか。
佐藤:あります。アクションシーン、かなりおもしろいですよ。舞台が“体内の世界”だから、アクションでできることの可能性が無限大なんです。細胞たちは逆走もするし突然血管の壁をすり抜けて現れたりもできる。重力も関係なくて、アイデアさえあればいろんな動きを表現できる設定を生かした、そういうアイデアが詰まったアクションシーンになっています。
――アクションにおいて、佐藤さんから提案されたことはあるのでしょうか。
佐藤:短いナイフを使ったアクションは初めてだったのですが、武器を最大限に生かした動きをやりたくて。速くて細かいアクションをお願いして入れてもらいました。
――永野さんは佐藤さんのアクションを間近でご覧になってどうでしたか?
永野:赤血球という守られる立場で、健さんが目の前でアクションしている姿はとてもカッコよかったです。前回共演したときとは雰囲気が違い、また新しい姿を見られてうれしかったです。みなさんもきっと白血球さんに夢中になっちゃうと思います。
――おふたりも含め豪華なキャスト陣ですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
永野:とても楽しかったです。思い出に残っているのは、メイク室にツバメが入ってきたこと。出られなくなっていたので外に出してあげようとみんなで試行錯誤したんです。方法を調べたら「光に寄っていく」というのがあったので、みんなで携帯のライトで一点を照らしたりとかしてました(笑)。
佐藤:特に仲里依紗さんが外に出してあげたかったみたいで一生懸命でした。自分は最初そんな気にしていなかったのだけど、時間が経ってもツバメがなかなか出ていけなくて。最後は全員で一丸となって外に出しました。
■永野が6年前に佐藤から受けていた意外すぎるアドバイス
――個性的なキャラクターが数多く登場しましたが、ご自身の役以外で演じてみたいのは?
佐藤:キラーT細胞(山本耕史)は素手でのアクションで、ちょっと大変そう。NK細胞(仲里依紗)は一匹狼で誰とも群れない設定がカッコいいけど、ちょっと刀が大きくて扱いづらそうだなって。やっぱり短めのナイフが一番暴れ回れるので、白血球がいいです。
永野:私が演じたのは、芦田愛菜さん演じる日胡(にこ)ちゃんの体内の赤血球だったので、阿部サダヲさんが演じている茂さんの体内の赤血球をやってみたいです。同じ赤血球なのに全然違ったので、おもしろそうです。
――ご自身がやった役が、やはり一番思い入れがあるのですね。
佐藤:それは間違いないです。
――では“食べても太らない細胞”などのように、自分の体内に新種の“細胞”を入れられるならどんなものがいいですか?
佐藤:めっちゃ謎が解けるようになる細胞がいいですね。
永野:もうすでに謎解きは得意じゃないですか?
佐藤:人間は思考を同時にできる限界があると思うから、それをもうちょっと増やしてくれたりする“思考拡張細胞”みたいなのを入れてみたい。謎解きが好きなので、そういうのに有利になる細胞がいいです。
永野:健さんらしい答えですね。私は“寝なくても元気な細胞”。1日24時間じゃ足りないので、あと3時間くらい増やしてもらうか、寝なくても元気に過ごせる細胞がいいです。
佐藤:3時間増えたらなにをするの?
永野:寝る(笑)。夜までお仕事した後にごはんを食べると、寝る時間が短くなっちゃいますよね。3時間増えていれば、夜ごはんも長く食べられるし、3時間増える分、寝る時間にもできるじゃないですか。
佐藤:いいアイデアだと思うよ(笑)。
――続いて、ご自身が健康のためにしていることは?
佐藤:保湿、加湿ですね。
永野:私はあたたかくすることです。健さんとご一緒した際、私が風邪気味だと伝えたら、「ちゃんと布団をかけて寝ているか」と聞かれたんです。「肩下辺りまでかけて手を出して寝ている」と返したら、「それっ!」って(笑)。「肩まで毛布をかけなさい」と言われて、そこから絶対に守っています。
佐藤:手も布団の中に入れてる?
永野:入れてます!(笑)これからも私は肩までかけ続けます。
取材・文:遠藤政樹
撮影:山崎美津留