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料理研究家・辰巳芳子を追ったドキュメンタリー『天のしずく』100歳記念上映決定

 NHKの料理番組『きょうの料理』を担当してきた矢内真由美プロデュサーが、食材の向こう側の生産者や、自然にも思いを寄せられている姿勢や、伝える言葉の美しさが魅力的な料理研究家・辰巳芳子氏の料理哲学を描いたドキュメンタリーを作りたい、と河邑厚徳監督にオファーして完成した映画『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”』(2012年)が、辰巳氏の100歳記念上映として、来年(2025年)2月7日より東京・アップリンク吉祥寺で再上映されることが決定した。

【動画】映画『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”』予告編

 「愛することは生きること」という辰巳氏の哲学を描いた本作は、日本のみならず、スペインのサン・セバスティアン国際映画祭などで海外の観客も魅了。辰巳氏が公開当時に「この作品は『ところ』を得れば時代を超えられるのではございませんでしょうか」と予想した通り、今年の敬老週間に東京都写真美術館ホールで上映された際も大きな反響を呼んだ。

 辰巳氏の言葉の朗読は、辰巳氏から観客への手紙を読むように読んでもらいたいと監督がオファーした俳優の草笛光子が、本作の語りは、6人の子持ちで、「とにかく食で自分の気持ちを伝えたい」と毎日料理をするという谷原章介が担当している。

■ストーリー

 嚥下(えんげ)障がいでとろみのあるスープのみ喉を通った父に作っていたスープを、父の死の直後からは訪問看護のボランティアで隣人に配り、そしてスープ教室で伝授してきた料理研究家・辰巳芳子。1口2口がなくなると、数日で天国に逝かれる患者を目の当たりにしてきた医師は、病院の緩和ケア病棟でスープを配り、「辰巳さんのスープは素材を感じるので、引き出しが開いて思い出が出てくる」と1口の大切さを実感。ある日、辰巳の元に、親友が癌(がん)になり、「何かしてあげられることはないか」とスープを作ったというハンセン病の女性から手紙が届き…。