歌舞伎界を舞台にした吉田修一の小説を、吉沢亮主演、横浜流星共演で李相日監督が映画化した『国宝』(6月6日公開)が、フランスで開催される「第78回カンヌ国際映画祭」(5月13日~24日)の監督週間部門に選出されたことが明らかになった。
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世界三大映画祭のひとつで、国際映画祭の最高峰ともいえるカンヌ国際映画祭。その独立部門である監督週間は、自由な発想や新しい表現で作家性を持つ監督の作品が選出され、過去にはケン・ローチ、ジム・ジャームッシュ、スパイク・リー、ソフィア・コッポラ、アトム・エゴヤン、グザヴィエ・ドラン、日本からは大島渚、北野武、黒沢清などの作品が上映されている。
ポン・ジュノ監督の『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)のようなクオリティの高いエンタメ作品も選ばれる部門で、優れた監督が世界に進出する登竜門としても注目される。
これまで李監督は、『悪人』でモントリオール世界映画祭、『許されざる者』でベネチア国際映画祭、『怒り』でトロント国際映画祭やサン・セバスティアン国際映画祭に参加してきたが、カンヌ国際映画祭に作品が選出されるのは初めて。
李監督は「人生を懸けて臨む。その言葉通り、一年半もの間を稽古に費やした吉沢君を筆頭に、演者たちの覚悟なしには語れない作品です。同様に、スタッフの果てしない献身、そして信頼に感謝が尽きません。カンヌという形で報いられる喜びを噛み締めています。華麗であり、壮絶である歌舞伎俳優の生き様をお披露目する場として、これ以上ない大舞台です」と喜びのコメントを寄せている。
■映画『国宝』とは
任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げ、世界でただひとりの存在“国宝”となるまで――主人公・喜久雄(吉沢)の50年を描いた壮大な一代記。
抗争によって父を亡くした任侠出身の喜久雄は、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎(渡辺謙)に引き取られ、歌舞伎という新しい世界を知る。半二郎の跡取り息子で名門の御曹司・俊介(横浜)と出会い、兄弟として、親友として、ライバルとして、ともに芸に青春を捧げる。才能を持つ喜久雄と、血筋を持つ俊介。生い立ちも才能も異なる二人だったが――。「歌舞伎」という禁断の世界で、喜久雄は運命に翻ろうされながらもどのように激動の時代を駆け上がり、“国の宝”となるのか。