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「差別を助長」と批判集める書籍『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』、装画担当が謝罪 「表象が示す危うさ」感じつつも制作進める

 書籍『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』(三笠書房)について、職場の「困った」人として「ASD」「ADHD」などを挙げ、イラストで人物を「ナマケモノ」「サル」といった動物にたとえて表現したことが「差別を助長する」などと批判を集めているが、イラストを担当した芦野公平氏が16日、自身のnoteで謝罪した。

【画像】批判を集めた書籍の書影

 芦野氏は「※本記事は、2025年4月刊行の神田裕子氏著『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』(三笠書房)の装画にご指摘を受けて、イラストレーターとしての立場から記録したものです。また、本記事は著者や出版社の意図を代弁(実際の指示の記述は出てきます)・解釈するものではなく、私個人の責任と視点に基づいたものです。また、出版社から装画制作の経緯についての発信の許可を得ております」と前置き。

 その上で「このたび、私が装画を担当した書籍について、批判やご指摘の声が上がっている件について、私個人の立場から経緯と考えを整理し、お伝えいたします。まず、当該装画について差別的な印象を受けたというご意見があることを、真摯に受け止めております。ご不快な思いをされた方がいらっしゃること、それ自体が大きな問題であり、表現に関わった一人として深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

 一方で「私自身、そのような意図を持って描いたものではありませんが、意図の有無にかかわらず、結果として傷ついた方がいらっしゃることの重みを受け止め、責任を感じております。制作にあたっては依頼元からの明確なディレクションに沿って進めており、当初は社会的な背景を持つ登場人物をいきいきと、肯定的に描くという指示と方向性でラフを提出しておりました」と伝えた。

 そして「しかし、こちらのラフイラストへのフィードバックのタイミングで、構図やキャラクター表現についての大きな修正が入りました。人物を愛らしく描きたいとの意図のもとで、キャラクターを動物に置き換えるというディレクションがあり、それに従って描き直したものが最終的な装画となっています。当時のメールでの指示内容は“いろんな人がいて、みんな個性も才能もバラバラだけど必死に頑張ってる、愛おしい感じに仕上げられたら…です。”というものでした」と当初の予定との違いについて説明した。

 また「『人間を動物に置き換えて描くこと自体に差別意識を感じなかったか』という疑問が当然あると思います。前提として、読者の背景理解の後には皆がいきいき働ける未来があるというポジティブなテーマが前提の装画制作であり、編集者との具体的なやりとりに差別的な意識は感じていなかったため、『あり得ない』とは感じずに受け入れました。しかし、ポジティブな印象とは別に、表象レベルで批判され得る可能性を孕んでいるという自覚も一方にありました。しかし、テーマや変更意図がポジティブなのだからと指示に従いました」と記した。

 さらに「ここは多忙のためという言い訳になりますが、編集部とコミュニケーションを取る労を惜しんでしまったという実感もあります。出版社や著者の表現や発信意図については、そもそも書籍にまつわる課題について深い理解のない私が言及することは出来ません(そこは無知や勉強不足を認めます)が、表象が示す危うさを感じつつも制作を進めたことは認めます。また以前に一緒に仕事をしたことがある方で信頼感もあったとは言え、この図案変節の時点で、全体の構造や影響を見通す力、制作チームでのコミュニケーションを厭わない態度が不足していた点を深く、そして最も反省しております」ともつづっている。

 三笠書房のサイトでは、同書について「なぜ、いつも私があの人の「尻拭い」をさせられるのか?「あの人、いつも私に仕事を押し付けて、自分はふらっといなくなる」「どうして私だけが、損な役回りを引き受けなくてはいけないの?」こんな“イライラ・モヤモヤ”を抱えたことはありませんか?多くの「真面目ないい人」を苦しませる、職場の「困った人」たち。本書では、彼らを6タイプに分類し、それぞれの言動や思考の裏側を解剖することで、戦わずして勝つためのテクニックを紹介します」と伝えている。