俳優の間宮祥太朗が主演を務める、TBS系金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』(毎週金曜 後10:00)。企画・プロデュース・脚本を手掛けたのは、BABEL LABELの畑中翔太氏。自らも司法試験を目指していた経験を持つ彼が、これまでのリーガルドラマにはない視点から描き出す、新たな弁護士像とは? 本作が生まれた背景やキャスト陣への思い、さらには映像表現に込めたこだわりについて、畑中氏に話を聞いた。
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――はじめに、本作制作のきっかけや企画意図について教えてください。
1つはこれは個人的なことになりますが、学生時代に実際に司法試験にチャレンジしていた過去があり、結局その道は諦めることになりましたが、いつかエンタメ作品として「リーガルドラマ」を作りたいという想いを持っていました。
そんな時に、たまたま知人の弁護士さんから、 「弁護士の数が以前より倍増して、弁護士になれたからって簡単に食べていけるわけではない」「揉め事が起こらないと弁護士は仕事にならない」という話を聞いた時に、「もしも案件を獲るために、人々に訴訟を焚きつける弁護士がいたら…?」という、この作品の軸となる企画を思いつきました。
――企画を練り始めて2年、金曜ドラマでの地上波放送が決まった時の気持ちをお聞かせください。
TBSの金曜ドラマは、学生時代から一視聴者として普通に観ていたドラマ枠なので、企画が決まった時は「あまり実感が湧かなかった」というのが正直なところです。ただ徐々に制作が進んでいくうちに、「自分が過去に観ていたあのドラマと肩を並べる作品を作らないといけないんだ…!」というプレッシャーみたいなものが湧いてきました。ただ今はそれを、チーム全体でいい作品を作るんだ!といういいプレッシャーに変換できていると思います。
――主演・間宮さんの起用理由や、撮影現場でのエピソードがあれば教えてください。
主人公の宇崎凌は弁護士として、社会や周囲の力に押さえつけられ、苦しみや訴えの想いを閉じ込めた人々の心に“火をつけていく”人間です。その主人公像を想像した時に、一見クールに見えるのに、その奥に泥くさい熱い闘志を感じさせる間宮祥太朗さんのイメージがぴったりと重なり、今回主演のオファーをさせていただきました。
このイグナイトの撮影現場では、1つのシーンを頭から終わりまでカメラのアングルを変えながら、何度も繰り返し撮影する手法を取っています。これは俳優の皆さんにとっては気力と集中力がいる現場なのですが、間宮さんはたとえ自身が映っていないカメラアングルになっても、そのエネルギーを全く絶やすことなく、常に全力で宇崎を演じてくれます。その間宮さんのエネルギーをさらに周りのキャスト陣やスタッフが受け取って、観ている人の心を動かすような熱量の高いシーンが次々に生まれています。そういう意味でも1シーン1シーン見逃さないで観ていただければと思っています。
――個性豊かなピース法律事務所のメンバーについても、起用理由を教えてください。
ピース法律事務所の代表・轟謙二郎は、裁判の賠償金目当てに訴訟を焚きつけるチームのリーダーです。仲村さんとは過去に、チーフ監督である原廣利さんとともに制作したドラマ作品でご一緒した経験があり、「またいつか一緒に作品を作りたい」という想いがありました。その中で、胡散臭さに溢れる謎多き事務所代表・轟というキャラクターが、これまでの仲村さんのイメージにない新境地になるのでは?という、制作陣としてワクワクする気持ちも含めてオファーさせていただきました。
ピース法律事務所、唯一の女性弁護士・伊野尾麻里を演じてもらうのは上白石萌歌さん。轟や宇崎をはじめ、暑苦しいメンバーばかりの事務所のムードメーカーであり、“歩く六法全書”との異名も持つ伊野尾のキャラクターと、人間から滲み出る天性の愛嬌のようなものと、弁護士としての説得力となる知性を同時に持ち合わせる萌歌さんのイメージがぴったりと重なり、この伊野尾役をオファーさせていただきました。
チーム最年少の秀才・高井戸斗真を演じてもらうのは三山凌輝さん。事務所最年少のクールキャラでありつつ、その内側に抱えたものを誰にも見せないミステリアスな側面を持つ高井戸。この高井戸というキャラクターなら、俳優とアーティストで全く違う顔を持つ、三山さんの両局面の魅力を活かしてもらえるのでは?と思い、オファーさせていただきました。また三山さんならではの要素を高井戸のキャラクターに加えた部分もあるので、ぜひそこも楽しみにしていただければと思います。
■司法試験の経験を脚本に――訴訟に踏み出すまでのヒューマンドラマ
――ご自身も司法試験合格を目指したことがあるとのことですが、制作において反映できたことはありますか?
「裁判」というのは決して簡単なものではなく、訴える原告側にも、訴えられる被告側にも、そこに辿り着くまでの人生ドラマがあります。過去にそういった裁判のリアルに身近に触れていたからこそ、従来のリーガルドラマにはなかった、依頼人が「訴訟を起こそう」と、心に決めるまでのヒューマンストーリーを丁寧に脚本にできているのではないかと思っています。
――本作で初めて行っている試みがありましたら教えてください。
従来のリーガルドラマは法廷内での攻防が見どころですが、本作はアクションシーンやカースタントシーンなど、“法廷外”にも大きな見どころがあるリーガルドラマです。そのため撮影にはBABEL LABELの強みでもある映像のダイナミズムをふんだんに活かした、様々な撮影アプローチを取り入れています。ぜひ第1話から、その視点でもドラマをご期待いただければと思います。
――『イグナイト』というタイトルにちなんで、本作を見た視聴者の感情がどう燃え上がることを期待していますか?
「こんなリーガルドラマ観たことない!」とシンプルにテレビドラマに興奮してほしいなと思っています。全話を通じて、テレビドラマなのにテレビドラマらしからぬ、リーガルドラマなのにリーガルドラマらしからぬ、を制作テーマにしています。人々に訴訟を焚きつける無法者弁護士たち、法廷外でのアクションやスタント、そして1人の人間が訴訟を起こすまでの葛藤を描くヒューマンストーリー…この『イグナイト』という作品には、これまでにはない様々な“驚き”が詰まっていると思います。TBSとコンテンツスタジオ・BABEL LABELのタッグだからこそ生まれた、新たなTBS金曜ドラマをぜひ最後まで見逃さないでほしいです。