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「差別を助長」と批判集める書籍、出版社&著者が見解をつづる「慎重に検討を重ねるべきであった」

 「差別を助長する」などと批判を集めている書籍『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』について、三笠書房および著者の神田裕子氏が18日、サイト上で見解を記した。

【画像】批判を集めた書籍の書影

 三笠書房のサイトでは、同書について「なぜ、いつも私があの人の「尻拭い」をさせられるのか?「あの人、いつも私に仕事を押し付けて、自分はふらっといなくなる」「どうして私だけが、損な役回りを引き受けなくてはいけないの?」こんな“イライラ・モヤモヤ”を抱えたことはありませんか?多くの「真面目ないい人」を苦しませる、職場の「困った人」たち。本書では、彼らを6タイプに分類し、それぞれの言動や思考の裏側を解剖することで、戦わずして勝つためのテクニックを紹介します」と伝えている。

■報告全文
神田裕子著『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』の公刊に関する当社の見解

上記書籍(以下、「本書籍」と略します。)発行に先立つ事前予告の表現、すなわちカバーのビジュアル、用語、目次などに対しネット上でさまざまなご意見があることについて、当社の見解を申し上げます。
現在、本書籍に対するご批判等賛否の意見が本書籍の発行前に生じておりますが、まずは事前告知の限られた情報の中で、ご不快な思いをされた方がいらっしゃった事実について、お詫び申し上げます。

これまでも当社発行後の書籍に対するご意見については、真摯に受け止めて参りました。それ故、本書籍のような事前予告に対するご意見について、当社が見解を述べるべきかについて躊躇しました。しかし、少なからぬご批判等が存在している現状に鑑み、本書籍の内容を踏まえて以下の所見をお伝えすべきと判断するに至りました。

第1 本書籍の概要
1 本書籍は、職場や組織に「困った人」が少なからず存在する現実に基づいて執筆されています。そのような環境の下では、とかく当人と関わり合いになることを避けることでトラブルの発生を回避しようとする傾向が見られます。
2 しかし、本書籍はこの傾向に対する批判的な視点、すなわち、「困った人」をどのように受け止め、どのような姿勢で臨めばトラブルの発生を回避しつつ、当人と上手に付き合うことができるかという点を基本的な視点として、この問題を論じております。
3 そのために著者は、「困った人」を知ることが重要であると第1章で指摘し、そのような理解の手がかりとして(19~21頁)、6つのタイプという、理解のための分類を行い、その分類の手がかりの一助となる「簡易な診断用チャート」を図示し(24~25頁)、それぞれのタイプを説明しています(26~59頁)。
4 その上で、「困った人」の発言を受け止める側の心構えの重要性を述べ、そのことを「相手を尊重しながら相手を知る姿勢」としています(60~71頁)。そこから、具体的なコミュニケーション手法を紹介するとともに、その限界に留意しつつこれらを活用すべきであると示しています(72頁~79頁)。
5 そして、前記タイプ別に具体的事例形式によって対処法を説明し(81~187頁)、さらにその「共感的理解」と「受容」の応用例をシチュエーション別の「声かけ」として示しています(189~273頁)。
6 そして最後に、「困った人」に対する「自分」がいかにすれば主体性を持って対処しうるか、いかにして自分の感情をコントロールするかということを「自分軸」という言葉で終章にまとめています(275頁以下)。
このように、本書籍は「困った人」といかに真摯に向き合い、かつ付き合うかという視点で書かれております。

第2 公刊前の書籍に対する批判についての当社の見解
1 上記の通り、出版予告の表現では伝えがたい内容を一定程度明らかにしなくては本書籍の意図が伝わらないと考え、かかる表明となりました。
2 事前予告という手段の制約によって、ご批判等が生じていると思われる点について簡単に触れておきます。いずれも本書籍をお読みいただくことによってご理解いただけるものと信じております。
(1)収録されている「簡易版診断チャート」は、直ちに障害や病気という医療上の診断につながるものではないことは言うまでもなく、あくまでも相手を理解するための「目安」に過ぎません。
(2)病気や障害の有無にかかわらず、人は誰しも誰かにとっての「困った人」となりえます。それを念頭に「相手を知ろうとする姿勢」や「お互いさまの精神」が重要である、との視点に立っています。
(3)ビジュアル表現については、ここに至るまでにさまざまな議論がありました。「困った人」と「困っている人」という対比を人間の表情や姿勢等で表すことには限界があることから、「困った人」を愛らしい動物に置き換えるという表現にしました。
事前告知に制約があるとはいえ、その中でご不快な思いをさせてしまったことに対してお詫び申し上げるとともに、表現についてより一層の工夫をしなくてはならないと考えている次第です。

以上

2025年4月18日
株式会社三笠書房

著者 神田裕子氏の見解
このたびの私の著作について、さまざまなご批判があることを承知していますが、私自身も含めて、家族に発達障害の特性傾向が見受けられます。あくまでも自己判断ではありますが、他人事とはとらえられないと感じています。そのため、差別意識や偏見などはまったくありません。

本書を通じてお伝えしたかったことは、「知ることの大切さ」です。障害があるなしにかかわらず、互いに理解し合って相手の嫌がることをせず、適材適所で働ける環境がほしい。そんな願いを込めて、具体的な対処法を本の中で示したつもりです。

私は、医師ではないので、もちろん診断はできませんし、本書の中でもその点は記載しています。たとえば「ASD」はこうだ、という決めつけをしているのではなく、それぞれの特性があるということを踏まえたうえで、そのASD的な言動を事例としていくつか出しています。

また、ビジュアル表現で「困った人」を動物にたとえていることにもご批判があることは受け止めています。愛おしいもの、ピュアなものの象徴としてとらえており、差別的な意図はまったくありませんでした。
しかしながら、動物にたとえたことでご不快な気持ちになった方々がいることは事実であり、表現方法について、もう少し慎重に検討を重ねるべきであったと思っています。

2025年4月18日
神田裕子

追記
上記の書籍について、本書の製作に携わった外部のクリエイターやプロデューサーにも、批判の声が寄せられていますが、本書の内容や表現上のディレクションに関しては、あくまでも出版社と著者が主体となって作り上げたものであり、外部スタッフに一切の責はありません。

また、本件に関して、SNS上で著者のなりすましアカウントによる誤情報やデマが発信され、それが第三者により拡散されています。加えて、著者の個人情報がSNS上でさらされ、ご家族にも誹謗中傷が寄せられる事態となっています。
これらは到底看過できないことであり、当社としては関係機関と連携し、投稿元のアカウントを特定の上、法的措置をとることにいたしましたので、あわせてご報告します。

以上

2025年4月18日
株式会社三笠書房